ガイド実験君

2015年10月15日木曜日

ここ3日連日の出撃で何をしていたかと言うと、データ取りでした(^_^;
理系人間の好物は実験と試行錯誤。
ガイド条件を同じにして、ガイド鏡の焦点距離を変えた場合の変化を観察してみました。

条件は、
  • 200mm、420mm、660mmのガイド鏡筒を比較する。
  • ガイドカメラは Aptina AR0130 CMOSセンサー。
  • 同じ星をガイド星に選択する。
  • ガイドカメラ設定は筒ごとにlin_guiderでの映像が同程度になるよう調整する。
です。

手順は、
  • ガイド星をキャリブレーション。
  • ガイド開始1分後より5分露光の写真を3枚撮影。
  • lin_guiderのログ機能よりその間のデルタ値を記録。
  • 撮影された写真とログから起こしたグラフを比較。
以上です。

■撮影画像

 下記写真は、ガイド星から近い位置の星の一部を3倍に拡大したものです。
(ISO3200, 露光時間300s)


パッと見、3つともさほど変わりませんが、660mmの星像は周囲がよりボケているように思います。
200mmと420mmにはほぼ差が無いように見えます。


■グラフ

ログよりデルタ値の一部を再現したグラフです。


200mmが一番エラーが大きい傾向があります。
660mmも時折2秒角を越えるエラーを出しています。これらと比較して、420mmのガイド鏡は大きくガイドが外れることも少なく、比較的安定しているのが分かります。
最大で±2秒角以内に収まっているようです。

横軸にRA、縦軸にDECを取り、フレーム毎のデルタ値の分布を比較してみます。


  RA DEC
+ - + -
平均値 0.696 -0.699 0.437 -0.732
RMS値 0.916 0.801
サンプリング数:1200個



  RA DEC
+ - + -
平均値 0.543 -0.535 0.363 -0.413
RMS値 0.682 0.496
サンプリング数:1200個



  RA DEC
+ - + -
平均値 0.605 -0.620 0.485 -0.433
RMS値 0.769 0.591
サンプリング数:1200個


200mmは±2秒角を超えて分布しています。
また、どのくらいの範囲で分布しているかを示すRMS値も0.9~0.8と良くありません。

420mmは一番良好な結果になりました。
RMS値もRA側は約0.7と高めですが、DEC側は0.5を切っています。
さらに調整すれば、RMS<0.4くらいに追い込めそうです。

660mmは420mmに近い傾向ですが、意外と成績が伸びません。
鏡筒が長い分、力の係り具合によってたわんだり、エラーの解消に小さなハンチングを起こしやすいことが原因ではないかと考えられます。

■星像比較

420mmのガイド鏡を使って、同じ星をガイドしながら次の2つの条件で撮影します。
  • ISO3200 露光時間10秒
  • ISO100 露光時間320秒
理屈の上では集まる光量は同程度のはずなので、明るさの同じ写真が撮れるはずです。
その上で、320秒露光した場合の星像の太り方を観察します。


上記写真は実際の写真を4倍に拡大したものです。
モノクロ化して比較すると、長時間露光しても星像が極端に太ることなく写っているのが分かります。つまり、過剰なガイド補正は発生しておらず、安定したガイドが行われていると言えるでしょう。


今回はと中で420mmガイド鏡の付け替えをしたため、バランスが取れていない状態での実験となりました。
しかしながら、予想に反して420mmのガイド鏡の成績が良いので、しばらく使ってみようかと思う次第。
とりあえずの目標は、安定してRMS=0.4で運用できるようにすることかな。

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