フォーカサーの高精度化を狙ってウンウン悩んでいました。
一番の悩みはクレイフォード機構の弱点とフォーカサーの計測方法によって引き起こされる問題です。
一般的なフォーカサーはモーターの回転エンコーダー値、または駆動ステップ数をフォーカサーの位置情報とみなして使用しています。
100カウント進めて、100カウント戻せば元に戻るという単純な方式です。
また、クレイフォードはローラーシャフトをドローチューブに押し当て、摩擦によって駆動する方式です。
押し当てる力加減によっていわゆるドローチューブの「重さ」が決まります。
摩擦が弱いとき、鏡筒が上を向くと、チューブ+カメラなどの機材の重さによって、重力に引かれてドローチューブが滑ることがあります。
そうならないように押し当てる力を加減して運用するのですが、ローラーシャフトへの負荷は水平時と上を向いたときとでは全く違います。
上を向くと重力によって滑り方向へ力がかかり、シャフトの滑りが発生しやすくなり、伸ばす時と縮める時のシャフトの回転量が違ってきます。こうなると、オートフォーカスでフォーカシングすればするほど、エンコード値が正確な位置情報とは言えず、どんどんずれていくことになります。
ドローチューブの先に付ける機材が重くなればなるほど、深刻な問題となります。
これが、ラックピニオン式の場合だと滑りは発生しないので、バックラッシュの補正だけで済むはずです。
はて、これは困った。
要するに、ドローチューブの伸縮を長さとして正確に計測できればいいわけです。
色々考えて幾つかのアイディアがあるのですが、例えばリニアスケーラに可変抵抗を使用してみることを考えると、分圧された電圧を計測すれば距離が分かりそうです。
実践されている方もおられるようですが、実際はμm単位の変化を得られるほどセンシティブなのかちょっと疑問です。
他にデジタルノギスのようなものを取り付ける方法。
これは実際にフォーカサーに組み込まれたものが市販されています。(William Optics のDDG付きフォーカサー)
が、これは単独で使うもので位置情報を外部から読み取ることはできません。
しかし、方向性はいいように思います。
で、ネットを調べてみると、同じようなことを考える人は世界のどこかに居るもんだと実感します。
デジタルダイアルゲージやデジタルノギスをハックして計測データをマイコン等に読み込む方法が編み出され公開されています。
例えば、こんなところ。
Digital Dial Indicator CNC Surface Probe
Unlocking the data stream from the Pittsburgh Digital Dial Gauge
Reading Digital Caliper From Arduino
先人の方々に敬意を表し、リスペクトさせていただきますm(__)m
やっと、本題。
今回は予備実験として、デジタルダイアルゲージをいじってみました。
取り付けを考えると、ノギスよりダイヤルゲージの方が取り付けやすいと思います。
購入したダイヤルゲージは、Amazonで検索するとたくさん出てくるうち、精度が0.001mmと0.01mmの2機種を選びましたが、使用するのは0.001mmの方になるでしょう。
デジタルデータが取り出せる機種を選びましょう。
安い割に意外としっかりしたケースに入っていました。
早速、開腹です。
裏ブタを開けて、インジケータ部分とピン部分を分けるネジを外しバラバラにします。
インジケータ部分の基板を外します。
液晶と基板は伝導性ゴムのパッドで接続されるので、組み立て直す時にずれないように注意してください。
基板右上の端子がデータポートです。
GNDと電源の+1.5Vが出ていますので、ここに外部電源を投入できます。
レギュレータなどで1.5Vを作って入力すれば、ボタン電池無しで動きます。ただし、直接電源をつなぐとランダムな数値を表示して動きません。
電源ラインに100Ω程度の抵抗を入れると安定するようです。上記2つ目のリンクに記述があります。
得られる信号の詳細は上記リンクに詳しく説明されていますのでそちらを参考に。
Arduinoで簡単なプログラムを組んで実測値を表示させてみました。
ArduinoのデジタルINにレベルシフトしたCLOCKとDATAを入力して読み込んでいます。
簡単に言うと、CLOCKの立ち上がりでDATA値を読んで、24ビットのデータを得たら数値へエンコードしているだけです。
ちゃんと読めています。
マイコンに取り込めればあとは簡単。
デジタルダイヤルゲージから得た値を元にフォーカサーの位置情報を決定すればOK。
これで、バックラッシュもシャフトの滑りも関係なく、正確なドローチューブの絶対位置が取得できるハズ!
\(^o^)/
さぁ~コード書くぞ~♪
おおー、いかれましたね!
返信削除自分が検討したときはデジマチックに25.4mmストロークなんて目が飛び出そうでしたが。
中華パワー凄ひ。
やはりABS(絶対位置)が欲しくなると思うので、この解が一番と思います。
もう本当に恐るべし中華です。
削除このDDGも4千円ほどですから、、、
パテントとか大丈夫か?と思ったりしますけど(^^;
とりあえず目論見通り、ドローチューブのIN/OUTで絶対位置を取り出すところまではできました。ちょっと感動です。
ただ、そう簡単に事は進まず、問題がぽろぽろ。
無変化5分でオートパワーオフしちゃうことや、オフになると絶対位置を忘れてしまうことなど、色々あります。
力業でなんとかしなくちゃならないようです(^^;;;