機械的なギアである以上、これをゼロにするのは不可能なのですが、支障のない程度に抑えることでオートガイド補正の精度向上が期待できます。
このバックラッシュの測定を、屋内で簡単にできる方法を考えてみました。
手順
- 仮想夜空としてスマホ or タブレットで星図アプリを動作させ棚などに立て掛ける。
- 星図アプリの設定は
画面上には星以外の情報を表示させない。
できるだけ沢山の星を映す。
日周運動が撮影できるように拡大表示する。 - 赤道儀に鏡筒+カメラを載せて(1)のスマホ・タブレットから10mほど離して立てる。
- 赤道儀の設定は、
アンチバックラッシュはすべてゼロ(無修正状態)
十字キーでの軸回転速度は一番微速にする。
コントローラで軸モーターが動かせればアライメントなどは必要なし。 - 星図ソフト上の星にピント合わせる。
- 室内を真っ暗にしてシャッターを開放する。
- 赤道儀のコントローラでRA側の+方向キーを数十秒(20~30秒)押す。
- キーを離し、すぐに反対の-方向キーを同じ時間押す。
- 7~8をもう一度繰り返す。
- シャッター閉じる。撮影終わり。
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DEC側も同じように撮影します。
この軌跡線が反転する箇所でキーの押し替えを行ったことになります。
軌跡頂点付近が平滑または丸まっているような場合はバックラッシュが発生しています。
その区間はモーターが動いていても実際のギアには動力が伝わっていな空転時間を表しています。
バックラッシュがほとんどない場合は、頂点が鋭く尖って記録されます。
アンチバックラッシュはこの区間時間に合わせて、空転分だけ素早くモーターを動かしバックラッシュを相殺する手法です。
赤道儀ごとに設定方法が異なるので詳しくは取説などを参考にしてください。
アンチバックラッシュを設定したら、確認のため再度、測定を行うことをおすすめします。
以下、補足
- 星図アプリはリアルタイムで星空が動くものであること。私はSky Safariを使用しましたが無料のアプリもいくつか存在します。
- 私はガイド鏡+カメラで撮影しましたが、筒を出すのが面倒ならカメラ+望遠レンズでもいいと思います。
- 星図アプリで映す夜空は、
RA側なら星が水平に移動するような場所、北極星の真上から少し離れた天頂付近など。
DEC側は星が垂直に移動するような場所、北極星の真横で北西、北東方向がいいのではないかと思います。 - アンチバックラッシュ設定の補正を強くしすぎると、軸回転の反転が起こるたびに視界がピョンピョンと飛び回る現象が発生します。
補正のし過ぎでモーターが過剰に回っている状態なので、アンチバックラッシュの設定値を小さくしてください。
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参考:バックラッシュ虫(ややグロ注意)
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