で、周回遅れの感は否めませんが、OnStep基板rev1.1でTMC2100を使う方法をメモっておこうと思います。
TMC2100基板の準備
毎度おなじみ、入手性の高い中華製のクローン基板を使用しました。
基板表面のシルク印刷から、Silent2100 FYSETC.COM V1.3 というものです。
データシートなどはこちら
https://wiki.fysetc.com/TMC2100/
TMC2100系の基板は色んなものが出回っているようですが、ここではこの基板を料理します。(FYSETC1.3と呼称します)
購入時はヘッダピンが半田されていましたが、丸ピンに貼り直すので全て外しました。
で、Wikiを読むと分かるのですが、FYSETC1.3基板に印刷されている制御ピン CFG1~CFG3 は実際にはどこにも繋がっていません。NCです。
TMC2100系は CFG* 制御ピンがトライステートなので、Hi, Low, OPEN の状態制御が必要です。
DRV8825の互換ドライバとして入れ替えた時、OPEN指定をするためには、既存の配線があっては困るのでピンには出さないという仕様になっています。
その代わり、基板上にジャンパが存在し、Hi, Low, OPEN の状態をハードワイヤーする設計になっています。
右図の囲みがそれぞれのピンのジャンパです。
CFG3はOPENで使用する物らしいので、VIOやGNDジャンパが無く、ヘッダに出すジャンパになっています。
基本的にCFG1, CFG2 のジャンパを使用します。
ジャンパの仕方は使用したいステップモードに合わせて半田ジャンパします。
モードを変えたいときにいちいちジャンパを切り替えるのは面倒ですが、この辺りは、SPIで設定できるTMC2130の方が面倒がなさそうですね。
で、CFG1~CFG3ピンは使用しない&ジャンパ半田しやすいように丸ピンを省きました。
OnStep基板rev1.1に載せる場合、DRV8825とピン互換を保つ必要があるので、基板の裏表と向きに注意してください。
そのまま、サクッと差し込みます。
OnStep基板追加配線
OnStep基板に1本配線を追加します。
下図のように、J9, J10 に出ている RA側、DEC側それぞれの DRV8825 FLT を 5Vへつなぎます。
TMC2100では、ここにVINが出てきます。
直接配線してしまっても構いません。
以上でTMC2100への換装は完了です。
Configの設定
モーターギヤ等の計算は本家のスプレッドシート使って計算してください。
ステッパードライバの設定部分を抜粋すると、
#define AXIS1_DRIVER_MODEL TMC2100
#define AXIS1_MICROSTEPS 16
#define AXIS1_MICROSTEPS_GOTO_OFF
#define AXIS2_DRIVER_MODEL TMC2100
#define AXIS2_MICROSTEPS 16
#define AXIS2_MICROSTEPS_GOTO_OFF
こんな感じです。
CFG1 = OPEN, CFG2 = OPEN, 16マイクロステップ stealthChopモードです。
マイクロステップ数はハード決め打ちなので、AXIS1_MICROSTEPS は使わないんじゃない?と思って _OFF にすると、
#error "Configuration: AXIS1_MICROSTEPS; TMC2100 invalid micro-step mode, use: 16,4,2,or 1
TMC2100で無効なマイクロステップモードや、16, 4, 2 または 1 を使うんやで。
などと、エラーを吐きます。
あれー?と思って、指定すると、
#warning "Configuration: AXIS1_MICROSTEPS; This mode is supported in spreadCycle but without 256x interpolation: it's usually best to hard-wire the TMC2100 and use: _OFF here"
このモードはspreadCycleでサポートされてるけど256倍補間はないで。普通はTMC2100で配線して、ここでは _OFF を使うのがええんやで。
とか言います。(^^;
ま、ワーニングなので無視してOK。
ソフト側の制御が無いのは理解したうえでハード的にジャンパしてるんだし。
実際の動き
本当に静かです。びっくりするぐらい。ほぼ無音で赤道儀が回ります。
ステップ動作がとても滑らかなので、ブレも最小限で済みそうです。
これはメリットとして大きいと思います。
しかし、トルク不足なのは否めません。
DRV8825で回していた速度では回せず、安全な範囲を見て出力50%強と言うところでしょうか。
何らかの対策が必要と感じます。
あと、ドライバチップの発熱がスゴイ(^^;
60度は平気で超えてくる感じなので、ヒートシンクは必須だしモーター出力を上げるならファン等の対策も必要になるかもしれません。
ひとまず、DRV8825版とTMC2100版の2つのOnStepでNESを回していこうと思います。
のりきゅうさん、こんにちは。
返信削除TMC2100は音が静かで、動きも滑らかでいいですね。高速時TMC2208は更に静かな気がします。
のりきゅうさんの基板はこれに切り替えました。一度使うとDRV8825には戻せません。
高倍率の惑星の追尾でも滑らかです。しかし、夏場はやはり冷却が必要かも知れません。
今年の夏は天気が悪くて出番があまり無かったですが、75℃越えになり、触った瞬間火傷しそうでした。
パターンを切り分けて電圧28Vで駆動しているので何とかトルクは稼げています。
LV8729も試しましたが、ICがデカいので放熱し易く、これも良いかと思います。
少し音はしますが・・・
確かに、この静寂性と滑らかさは経験すると手放せなくなりますね(^^;
削除放熱問題は対策必須になると思うので、小型ファンを付ける方向で考えてます。
OnStep本家でもTMC系のドライバ採用が主流になりつつあるので、今後の拡張も楽しみです。