理系人間の好物は実験と試行錯誤。
ガイド条件を同じにして、ガイド鏡の焦点距離を変えた場合の変化を観察してみました。
条件は、
- 200mm、420mm、660mmのガイド鏡筒を比較する。
- ガイドカメラは Aptina AR0130 CMOSセンサー。
- 同じ星をガイド星に選択する。
- ガイドカメラ設定は筒ごとにlin_guiderでの映像が同程度になるよう調整する。
手順は、
- ガイド星をキャリブレーション。
- ガイド開始1分後より5分露光の写真を3枚撮影。
- lin_guiderのログ機能よりその間のデルタ値を記録。
- 撮影された写真とログから起こしたグラフを比較。
■撮影画像
下記写真は、ガイド星から近い位置の星の一部を3倍に拡大したものです。(ISO3200, 露光時間300s)
200mmと420mmにはほぼ差が無いように見えます。
■グラフ
ログよりデルタ値の一部を再現したグラフです。200mmが一番エラーが大きい傾向があります。
660mmも時折2秒角を越えるエラーを出しています。これらと比較して、420mmのガイド鏡は大きくガイドが外れることも少なく、比較的安定しているのが分かります。
最大で±2秒角以内に収まっているようです。
横軸にRA、縦軸にDECを取り、フレーム毎のデルタ値の分布を比較してみます。
RA | DEC | |||
+ | - | + | - | |
平均値 | 0.696 | -0.699 | 0.437 | -0.732 |
RMS値 | 0.916 | 0.801 |
RA | DEC | |||
+ | - | + | - | |
平均値 | 0.543 | -0.535 | 0.363 | -0.413 |
RMS値 | 0.682 | 0.496 |
RA | DEC | |||
+ | - | + | - | |
平均値 | 0.605 | -0.620 | 0.485 | -0.433 |
RMS値 | 0.769 | 0.591 |
200mmは±2秒角を超えて分布しています。
また、どのくらいの範囲で分布しているかを示すRMS値も0.9~0.8と良くありません。
420mmは一番良好な結果になりました。
RMS値もRA側は約0.7と高めですが、DEC側は0.5を切っています。
さらに調整すれば、RMS<0.4くらいに追い込めそうです。
660mmは420mmに近い傾向ですが、意外と成績が伸びません。
鏡筒が長い分、力の係り具合によってたわんだり、エラーの解消に小さなハンチングを起こしやすいことが原因ではないかと考えられます。
■星像比較
420mmのガイド鏡を使って、同じ星をガイドしながら次の2つの条件で撮影します。- ISO3200 露光時間10秒
- ISO100 露光時間320秒
その上で、320秒露光した場合の星像の太り方を観察します。
上記写真は実際の写真を4倍に拡大したものです。
モノクロ化して比較すると、長時間露光しても星像が極端に太ることなく写っているのが分かります。つまり、過剰なガイド補正は発生しておらず、安定したガイドが行われていると言えるでしょう。
今回はと中で420mmガイド鏡の付け替えをしたため、バランスが取れていない状態での実験となりました。
しかしながら、予想に反して420mmのガイド鏡の成績が良いので、しばらく使ってみようかと思う次第。
とりあえずの目標は、安定してRMS=0.4で運用できるようにすることかな。
これは興味深い実験ですね!
返信削除過ぎたるは及ばざるが如し?
もしくは、もっと別の原因(そもそも赤道儀の精度とか)があって、ガイドスコープは200mm以上であれば、どれも一緒の精度になるけど、今回はこんな結果だった...とか?
M-GENは100mmで2000mmをガイドってうたい文句で、ガイドするアプリケーションに秘密があるのかも知れませんが、以前思ってたガイドスコープは撮影鏡筒の半分くらいの焦点距離... よりずいぶん短い感じで...
実際問題として、こちらも800mm運用時で400mmより240mmが成績良いような感じです。ガイド鏡と撮影鏡筒の連動性とか...ううう~ん?
どうも~
削除660mmの性能頭打ちはパラメータの調整をすれば改善すると考えてます。理屈の上では、光学系で微小なエラーを検知できることは強みのはずなので。
ST4Monitorで観察していると、最小補正時間を20msにしていたので微小な補正が頻繁に発生していたのは事実です。
この補正が少し過剰だった可能性があって思わぬ影響を及ぼしたのではないかと予想します。こういことはNexGuideで経験済みですしね(^^;
今回もlin_guiderの補正パラメータが420mmにマッチしていたと考えるのが自然かと思いました。
チューニングはまだまだできると考えてます。
個人的にガイダーのうたい文句はあまり信じないのです(^^;
結局、実際の撮影機材や主鏡の焦点長さによってガイドを追い込んでいく作業は欠かせないだろうし、その限界もあると思います。
色々試してみて、どの辺りまでエラーを許容できるかと言う点でガイド筒を選ぶのが正解だと思いました。
逆に、人の目で誤魔化される範囲なら、今回の実験のように200mmガイドでもOKのような気もします(^^;
3種類の焦点距離でのガイド鏡比較、素晴らしいですね(^^)
返信削除結果が同じなら、自分なら、運用が楽な200mmを迷わず選びますが、主鏡が1500mmとなると、ちょっと考えますよね^^;
こんにちは。
削除ここ数日は地域行事のため観望休みです(^^;あぁ、、、晴れてるのになぁ。。。
200mm~400mmで星像にさほど差が無いというのは正直驚きました。
200mmの方はデータ上はあまり良くないので、ガイドパラメータのチューニングを実験してみようと思います。
最近、検索ワードlin_guiderで上位に表示されるのでビビってます(^^;